2021年1月10日日曜日

ふろむださんの学習効率の高め方 第5巻までを読んで考えたこと

読むきっかけはTwitterのフォロワーのリツイート。

ふろむだ氏本人をフォローしてはいなかったけど前著の
『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』
を以前に読んでいて面白かったので、今回の学習効率の高め方の第1巻をkindleで読んだ。興味深かったのですぐに第2巻もBOOTHで購入した。

BOOTHは以前にMouse Dictionaryの辞書データ購入のためだけに利用したことがあったので二度目の利用ができてちょうどよかった。

第1巻の勉強(テキストを見る)とテスト(問題を解く)を繰り返したときの、それぞれの記憶定着率の違いの大きさを知っていきなりのめり込んだ。

思い出せることをテキストで見返しても記憶定着に効果は薄く、逆にテストすると効率よく記憶に残るという内容だ。


僕自身はこの本を読む前から、自分の物覚えに関しては、読書したり勉強したりTwitterなどで興味深いなと思ったことに関してもそのあと意外なほど記憶に残らず忘れていることが多いことを自覚していた。

だから、2年ほど前からは、印象に残ったものはできるだけメモして後で見返せるようにしていた。そして定期的に見返すことでこれまでならほとんど忘れてしまっていたであろう知識をようやく記憶に定着することができるようになった。

「記憶は思い出そうとすることで定着する」ということは他でも耳にしていたので知ってはいたのだけど実際のデータをみて確認できたのがよかった。

第2巻を読んだ後、実は第3巻を購入するまでに一週間くらい悩んだ。

第2巻が面白くなかったわけではないのだけど読むのに時間(丸1日程度)がかかったわりに知っていることも多くそこで新たに得られた知識を考慮するとあまりコスパがよくないなと思ったからだ。

第5巻まですべて読むにはかなり時間がかかる。読書に関しては最近は書籍代よりも費やす時間の方がコストが大きいなと考えているので結構悩んだ。

そのあともずっと気になっていたので結局第3巻を買って読んだ。そして思ったのは、このPDFはそもそも注意があるように一般書のようにわかりやすい結論をすぐに伝えるものではない。大学の講義のようにじっくりと自分でも論文の結果と意味を考えながら読んでいくこと自体を楽しむものだ。

そう注意がされていてもやはり最初は結論を急ぐ癖がついてしまっていたのでもどかしさを感じた。それでも少し慣れてきて第4巻以降は悩むことなく連続して購入した。

一周では消化しきれずに二周読んで、記憶の定着+アルファな部分で納得のいく結論がまとめられたのでいまは満足している。

周りに興味がありそうな人がおらず一人で黙々と読んだのだけど、誰かと一緒に読み進めたりできればもっと楽しめたと思う。そんなわけで自分なりに読んでいて思ったことをいくつか書いておく。


僕自身、ちょっと前まで何かしらの論文や研究データを引用した主張はそのまま特に深く考えずにある程度信用していたところがあった。最近はどんなことでも全く別の結果を主張する論文がいくつもあることを知りそのまま信用することはなくなったけど。

この学習効率の高め方PDFの中で論文から言えることを丁寧に考え明らかにしていくところが面白かった。普通の一般書ではこういう形は良くも悪くもあまりない。

大部分は記憶の定着の効率について書かれていてめちゃくちゃ参考になった。ただ、「記憶」の前の段階である「理解」の部分の効率化についてはやはり議論が難しく少し触れられている程度だ。

仕方のないところだけど、理解フェーズの効率化は記憶フェーズの効率化以上に重要だろう。理解と記憶の観点から学習効率を少し考えてみたい。

例えば、数学の受験勉強なんかでは定理や公式を利用して問題を解くための定石を学ぶ。僕の予備校の数学の先生は「何度も問題を復習して定石を覚えて、試験問題をみたときにどのパターンかわかるようになるまでやれば満点がとれる」と言っていた。

当時このことは印象的で、それまでは定理や公式を深く理解すれば自然と問題をみたときにどの定理をどう使えばいいか気が付くものだと思っていた。問題集の問題は定理を深く知るために解くものだと考えていたから、先生の言う「解き方を記憶する」というのは僕には逆の発想だった。でもそれが受験勉強としては正解だったと思う。

そうは言っても数学の問題集はそれぞれの問題の定石や解き方を理解しながら一周するのにすごく時間がかかる。だから先生の言葉を聞いてからも復習に費やす時間よりも先に進むこと、新しい定石を知ることに時間をかけていたと思う。

しっかりと解き方を理解すれば一度だけで記憶できて、同じパターンの問題が出たときは思い出して解けるだろうと思っていたからだ。問題集を一周する前に定期的に解けなかった問題を復習することに時間をかける勇気がなかった。

もしいま当時に戻れたとすればもっと復習に時間をかけた方が効率はよかっただろうなと思う。新しいことを学ぶことの学習効率自体は悪くないのだけれど、新しい定石を理解するのにかかる時間よりも復習することで確実に解ける問題を増やす方が得点を伸ばしやすいからだ。

ただやはり初回の理解の速さは人それぞれなので記憶の定着テクニックでどれくらいの差が埋められるのかはわからない。理解の早い賢い人は問題集を一周する時間もはやく自然と復習にも時間がさけるのでやはり強い。

理解フェーズの速さの違いがあるので記憶フェーズを効率化することによる成績への影響は多少限定的だと考えている。もちろんこのPDFで忘却の度合いを知り記憶を定着させる効率良い方法に気づいているとその後の人生ではめちゃくちゃ役に立つけれど。

それとPDFにもあったが、理解を早めようと思うとやはりわかりやすい教材を選択することや便利なツールを利用することが重要で、その教材やツールにかかる費用を必要以上にケチらないことが大切だ。

第5巻では記憶の定着後の思考についても書かれていた。これも最近僕も思っていたことで興味深く読んだ。自分の中にインプットされる知識が増えてくるとひとつの気づきや学びがこれまでの知識と結びつき相互理解が深まり新しい気づきが生まれる。そしてそれをアウトプットしたい意欲が湧いてくる。

今年の目標はアウトプットを増やすことにしたのもそんなわけからだ。読んだ本のメモを復習するだけでなく自分でも色々考えてまとめたりすることを今年は増やしていこうと思う。

あとElsaでの発音学習やMouse Dictionaryに有料辞書データをいれたりなども、すでに僕もやっていて同じようなことを考えている人は同じところに行き着くものだなと思った。

PDF内でよく反面教師的に参照されている書籍は以前に読んでいて、書籍のなかで主張されていることは僕もときどきなんか違うな、その引用している論文はそういうことを言っているのかな?と不審に思っていたところを見事に間違っていると言い切っていて気持ちがよかった。やっぱりそうだよねと親近感がわいた。

著者の思考フェーズで、考えたことをとにかくすばやくテキストにするために音声入力やらキー割り当てをカスタマイズするところは、まだ僕はその必要性を理解するには至っていない。早く入力できるように何年か前に「かな入力」に切り替えたり音声入力も興味があるのだけれどまだ照れ?もあってそれほど使えていない。

一番わからなかった実験結果はウィンスタイン1994実験の転移に関するところだ。運動において毎回テスト結果をフィードバックするよりもフィードバックを減らしていくほうが学習効率は変わらず(落ちず)に転移はしやすい(類似の別の学習に応用が効く)理由がわからない。直感でよくわからない。

フィードバックのないテスト(練習)にどんな意味があるのか、どれくらいうまくできたか指標がないのに次に生かせる何かがあるのだろうか?データのブレも結構あるのでなんとも言えないけれど、本当だとすると、例えば何かの練習をしていて多少間違ったフォームや動作でやっていてもたまにコーチに修正してもらえば毎回修正してもらってる人と変わらず、さらに応用が効くということになるのだろうか。

自分のフォームが正しいかどうかフィードバックがもらえない方が色々不安になる分意識が集中して客観視できるということなのだろうか。間違えることも大切ということなのだろうか。この部分はまだなんとも言えない。誰かぜひ教えてください。


最後にまとめると、このPDFを読むときは時間に余裕があって結論を急がずに思考の過程を楽しみながらじっくりと読むと楽しいです。ある意味そういうエンタメな要素もあります。

普段これだけ長いPDFを読まないので、使い慣れたPDFビュアーがパソコンになくスクロールやメモ・ライン引きなど苦戦しました。

PDFは書籍に比べると高いけれど大学の講義を受けているような感じて面白く、色々考えて学べて書籍とは違った良い体験になったので興味がある人はぜひ読み進めてみてください。

英語学習者は興味深い事例が多いので特におすすめです。


0 件のコメント:

コメントを投稿